「親が亡くなって農地を相続したんですが、これって売れるんでしょうか」
鎌ケ谷市の農地について相談を受けるとき、最初にこう聞かれることがとても多いです。
正直に言います。答えは「農地の種類と区分による」としか言えません。
ただ、その「種類と区分」を知るだけで、自分の農地がどんな状況にあるか、何から動けばいいかが見えてきます。この記事では、その判断軸を整理します。
農地には「4つの区分」がある
農地法では、農地を転用(農業以外の用途に変えること)する際の難しさに応じて、農地を4つに区分しています。
| 区分 | 概要 | 転用の難しさ |
|---|---|---|
| 甲種農地 | 市街化調整区域内にある特に優良な農地 | ★★★★ 原則不可 |
| 第1種農地 | 集団的に存在する優良農地(10ha以上の一団の農地など) | ★★★ 原則不可 |
| 第2種農地 | 市街地に近い・小規模な農地など | ★★☆ 条件次第で可 |
| 第3種農地 | 市街化が進んだエリアの農地・生産緑地など | ★☆☆ 原則許可 |
この4区分によって、転用できるかどうか・売りやすいかどうかが大きく変わります。
「自分の農地は小さいから関係ない」は誤解
第1種農地の基準に「10ha以上」という数字が出てきます。これを見て「うちの農地はそんなに広くないから関係ない」と思う方が多いのですが、それは誤解です。
この10haは自分の農地1筆の面積ではなく、周辺一帯の農地が連続してどのくらいまとまっているかで判定されます。宅地・道路・河川など農業機械が横断できない土地で囲まれた「ひとかたまりの農地全体」が10ha以上あれば、その中にある農地は第1種農地と判定される可能性があります。
自分の農地が小さくても、周辺一帯が農地として広がっているエリアであれば第1種・甲種になり得る。これが「自分では判断できない」最大の理由です。
鎌ケ谷市の農地、実際のところ
ここで少し、私が長年この地域の不動産を見てきた実感をお伝えします。
鎌ケ谷市は市域が非常に狭い市です(総面積約21km²)。その限られた面積の中に、住宅地・市街化調整区域・農地が混在しています。
初富・佐津間・軽井沢などのエリアには農地がまとまって残っており、こうした地域では第1種・甲種に該当する農地がある可能性があります。一方、住宅地に囲まれた孤立した農地であれば第2種・第3種になりやすい。
「鎌ケ谷市の農地は売れる・売れない」と一概には言えないのが正直なところです。区分によって状況が全然違うからです。
また、鎌ケ谷市の農地には他の市町村と異なる特徴が一つあります。鎌ケ谷市農業委員会に直接確認したところ、鎌ケ谷市には農業振興地域の農用地区域、いわゆる「青地」が存在しないとのことでした。青地がある市町村では農地転用の前に「農振除外」という手続きが必要になりますが、鎌ケ谷市ではその手続きが不要です。これは鎌ケ谷市特有の事情です。
青地・白地についての詳しい解説はこちらの記事にまとめています。
区分別:売れやすさと選択肢
甲種農地・第1種農地|原則不可、でも選択肢はゼロではない
甲種・第1種は転用が原則として認められません。「売れない農地の代表格」です。
ただし、農家への売却・農地バンクを通じた賃貸・特定条件下での例外的な転用申請など、選択肢がまったくないわけではありません。「どうにもならない」と思い込む前に、一度整理してみることをおすすめします。
→ 甲種・第1種農地の詳しい選択肢(後日公開予定)
第2種農地|条件次第で転用の道がある
市街地に近い・小規模・孤立しているなど、農業利用の継続性が低いと判断された農地です。農業委員会への申請・審査を経ることで、宅地や駐車場などへの転用が認められる可能性があります。
→ 第2種農地の転用手続き(後日公開予定)
第3種農地|比較的売りやすいが、生産緑地には注意
市街化が進んだエリアの農地で、農地の中では最も転用しやすい区分です。ただし生産緑地に指定されている場合は別の制約があります。
鎌ケ谷市でも生産緑地の満期・解除に絡む相談が近年増えています。「市街化区域内の農地だからすぐ動かせる」とは限りません。
→ 第3種農地・生産緑地の詳細(後日公開予定)
市街化調整区域の農地|開発許可という選択肢がある
農地の区分とは別に、市街化調整区域にある農地はさらに別のルールが絡みます。「調整区域だから絶対売れない」というのは誤解で、農地転用許可と開発許可を同時に申請するルートがあります。手順は複雑ですが、道は閉ざされていません。
→ 調整区域の農地・開発許可の詳細(後日公開予定)
まず何をすべきか
自分の農地がどの区分に当たるかを知ることが最初の一歩です。
調べる方法
- eMAFF農地ナビ(農林水産省公開のオンライン地図で農地の情報を確認できる)
- 鎌ケ谷市農業委員会に問い合わせる(最も確実)
ただし正直に言うと、区分がわかることはスタートに過ぎません。そこから「何ができるか」は個別の条件によって変わります。
「うちの農地はどうなるんだろう」と思ったら、農業委員会か、農地に詳しい不動産会社への相談が確実な次の一手です。鎌ケ谷市の農地については、私(橋本)にご相談いただくことも可能です。
まとめ
- 農地には甲種・第1種・第2種・第3種の4区分があり、区分によって売れやすさが全く違う
- 「自分の農地が小さいから1種・甲種には関係ない」は誤解。周辺一帯の集団面積で判定される
- 鎌ケ谷市は初富・佐津間など農地が集中するエリアと、住宅地に囲まれた農地が混在している
- 調整区域の農地でも「開発許可」という手順を踏めば転用の道が開ける場合がある
- まず「自分の農地がどの区分か」を農業委員会かeMAFF農地ナビで確認することが第一歩



