相続した不動産の税金の基本|評価のしくみと使える特例をやさしく解説

「実家を相続したら、相続税ってどれくらいかかるの?」

相続のご相談で、必ずと言っていいほど出てくる質問です。

先に結論からお伝えすると、相続税がかかる相続は一部で、多くのご家庭では基礎控除の範囲に収まります。

ただし、「かかるかどうか」を判断するには、不動産がいくらと評価されるのかを知る必要があります。

この記事では、相続した不動産にまつわる税金の基本——評価のしくみ、代表的な特例、そして売却時の税金——を、専門用語をかみくだいて整理します。

※税額の計算や特例の適用判断は個別性が高いため、最終的には税理士や税務署にご確認ください。この記事は「全体像をつかむ」ためのものです。

税金・特例場面概要
相続税相続時基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」以内なら原則申告不要。申告期限は10ヶ月以内
小規模宅地等の特例相続税の計算自宅の土地330㎡まで評価額を80%減額。税額ゼロでも申告は必要
譲渡所得税売却時売却益に課税。親の取得費と所有期間を引き継げる
空き家特例売却時要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円控除(2027年12月31日までの譲渡が対象)
取得費加算の特例売却時相続税の申告期限の翌日から3年以内の売却で、相続税の一部を取得費に加算

目次

まず基礎控除:相続税がかかるのはここを超えたとき

相続税には基礎控除があり、遺産の総額がこの範囲内なら、相続税はかからず申告も原則不要です。

基礎控除の計算式は次のとおりです。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、相続人が配偶者と子2人の計3人なら、3,000万円+600万円×3人=4,800万円までは相続税がかかりません。

相続税がかかる場合の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

ここで大事なのは、「遺産の総額」を出すには不動産の評価額が必要だという点です。


不動産の評価のしくみ:「売れる値段」とは別物

相続税の計算で使う不動産の評価額は、実際に売れる価格(市場価格)とは別のものです。

  • 土地:路線価(道路ごとに定められた1㎡あたりの価格)をもとに評価するのが基本。路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率をかける方式で評価します
  • 建物:固定資産税評価額をそのまま使うのが基本です

一般的に、相続税評価額は市場価格より低めになる傾向があります。

つまり、不動産には「相続税を計算するときの評価額」と「実際に売れる価格」という2つの顔があるということです。

「遺産分割の話し合いでは実勢価格」「相続税の計算では評価額」と、場面によって使う数字が違う点は、混乱しやすいので押さえておきましょう。


評価を大きく下げられる「小規模宅地等の特例」

相続税の特例の中でも、影響が特に大きいのが「小規模宅地等の特例」です。

亡くなった方が住んでいた自宅の土地については、一定の要件を満たすと、330㎡までの部分の評価額を80%減額できます。

評価額が2,000万円の土地なら、400万円として計算できるイメージで、この特例が使えるかどうかで「相続税がかかるか・かからないか」が変わるケースも多くあります。

主な対象者は次のとおりです(要件の詳細は個別確認が必要です)。

  • 配偶者が自宅の土地を相続する場合
  • 同居していた親族が相続し、住み続ける場合
  • 一定の要件を満たす、持ち家のない別居親族が相続する場合(いわゆる家なき子特例)

注意点として、この特例を使って税額がゼロになる場合でも、相続税の申告自体は必要です。

「申告しなくていい(基礎控除内)」と「申告すれば税金がかからない(特例適用)」は別物、と覚えておいてください。


相続した不動産を「売ったとき」の税金と特例

相続税とは別に、相続した不動産を売却したときには、譲渡所得税(売却益にかかる税金)の話が出てきます。

ここで知っておきたい代表的なポイントが3つあります。

① 親の取得費と所有期間を引き継げる

売却益は「売った価格-取得費-譲渡費用」で計算しますが、相続した不動産では親が買ったときの価格を取得費にできます。購入時の資料が見つからない場合、取得費を売却価格の5%とみなして計算することになり、税負担が重くなりがちです。実家の権利証や売買契約書は、早めに探しておきましょう。

② 空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)

亡くなった方が一人で住んでいた家(昭和56年5月31日以前に建築されたものなど、要件あり)を相続して売却する場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。この特例は2027年12月31日までの譲渡が対象とされています。

▶ 関連記事:空き家の3,000万円特別控除とは?適用要件とつまずきやすいポイント

③ 取得費加算の特例

相続税を納めた方が、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却した場合、納めた相続税の一部を取得費に加算して、売却益を圧縮できる特例です。

②と③は併用できないなど、特例同士の関係も細かいため、売却の時期や方法を決める前に税理士へ確認するのが安全です。


「売る前提」なら、税金とスケジュールはセットで考える

ここまで見てきたとおり、相続した不動産の税金には「期限」がついてまわります。

  • 相続税の申告:10ヶ月以内
  • 取得費加算の特例:申告期限の翌日から3年以内の売却
  • 空き家特例:2027年12月31日までの譲渡(現行制度)

「いつか売ろう」と思っているうちに特例の期限を過ぎてしまい、数百万円単位で手取りが変わってしまった…ということも起こり得ます。

売る・貸す・住むの選択に迷っている方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

▶ 関連記事:実家を売る・貸す・住む、どう選べばいい?鎌ケ谷市での判断ポイント


まとめ:税金は「知っているかどうか」で差がつく

ポイントを整理します。

  • 相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
  • 不動産の評価額と実際に売れる価格は別物。場面によって使う数字が違う
  • 小規模宅地等の特例は影響大。ただし適用には申告が必要
  • 売却時は、取得費の資料・空き家特例・取得費加算の3つをチェック
  • 特例には期限がある。売却スケジュールとセットで考える

相続手続き全体の流れは、こちらの記事で整理しています。

▶ 関連記事:親が亡くなったとき、まず何をすればいい?鎌ケ谷市での不動産相続の基本

税額の計算は税理士の領域ですが、その前提になる「実家がいくらで売れそうか」「特例の期限までに売却が間に合うスケジュールか」といった不動産側の整理は、鎌ケ谷市の事情を踏まえてお手伝いできます。お気軽にご相談ください。

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