農地を持ち続けるリスク|税金と放置がもたらす現実を鎌ケ谷市の実態から解説

相続や譲渡で農地を手に入れたものの、「とりあえず持っておけばいい」と考えている方は少なくありません。しかし農地には毎年固定資産税がかかります。まずその仕組みを整理します。

農地の固定資産税は、その農地がどのエリアにあるかによって大きく異なります。

市街化区域内の農地は、原則として宅地並み課税の対象となります。周辺の宅地と同程度の評価額をもとに課税されるため、税負担は調整区域の農地と比べて格段に重くなります。

市街化調整区域内の農地は農地課税が適用され、税額は比較的低く抑えられます。

ただし、市街化区域内の農地であっても生産緑地の指定を受けている場合は農地課税が適用され、税負担が大幅に軽減されます。固定資産税が問題になるケースで多くの方が生産緑地を選択するのはこのためです。

税負担だけを考えるなら、生産緑地という制度で対応できる場合がほとんどです。しかし問題はそこではありません。

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「放置すればいい」は通用しない

税金の話を聞いて「調整区域だから税額は低い、このまま放置しておこう」と考える方もいます。しかしそれは大きな誤解です。

農地を適切に管理せず放置し続けると、農業委員会による遊休農地の調査・指導の対象になります。

鎌ケ谷市農業委員会の資料によると、遊休農地とは「1年以上農地として手を加えられていない状態で、周辺農地に悪影響を及ぼしている状態」と定義されています。

鎌ケ谷市の遊休農地・実態データ

鎌ケ谷市農業委員会だより(令和8年2月1日発行)に、令和7年度の農地利用状況調査結果が公表されています。

件数筆数面積(㎡)
令和6年度8件20筆33,654㎡
令和7年度8件19筆31,326㎡

件数は変わらず8件で推移しており、鎌ケ谷市内で現在も指導対象となっている農地が存在していることがわかります。面積はわずかに減少していますが、これは指導を受けて耕作を再開したケースがあったためです。

指導対象になると、農業委員会から耕作再開や農地の貸し出しについて指導・相談が入ります。改善が見られない場合は勧告へと進む可能性もあります。

放置農地への指導の流れ

農業委員会による遊休農地への対応は、おおむね以下の流れで進みます。

  1. 農地利用状況調査(毎年実施):農業委員や農地利用最適化推進委員が現地確認
  2. 指導対象農地の認定:1年以上手が加えられておらず周辺に悪影響がある農地を認定
  3. 指導・相談:耕作再開に向けた指導、農地利用集積計画等への相談
  4. 改善されない場合:勧告・公表へと進む可能性

一度指導対象になると、その後の売却・転用の手続きにも影響が出る場合があります。早めに動くことが重要です。

農地を持て余しているなら「貸す」という選択肢

農地をすぐに売ったり転用したりするのが難しい場合、賃貸(農地の貸し出し)という選択肢があります。

鎌ケ谷市農業委員会が公表している令和7年の賃借料情報(10a当たり)は以下のとおりです。

農地の区分平均額最高額最低額
普通畑18,700円25,300円8,900円
樹園地26,200円33,100円18,400円

収益としては大きくありませんが、適切に管理された状態を維持することで遊休農地の指導対象から外れ、将来の売却・転用の選択肢も残すことができます。農業委員会では農地の集積・貸借のマッチングも行っています。

農地の出口、4つの選択肢

農地を持て余している場合の選択肢を整理します。

① 売る:農地のまま農家に売る(農地法3条)、または転用して売る(農地法5条)。農地種別や立地によって売れるかどうかが変わります。

② 貸す:農業委員会を通じて農家に貸し出す。遊休農地対策にもなり、収入も得られます。

③ 転用する:資材置き場・駐車場・建物用地などに用途変更する。農地種別と立地によって転用できるかどうかが異なります。

④ 生産緑地の申請:市街化区域内の農地であれば、生産緑地指定を受けることで税負担を大幅に軽減できます。ただし30年間の営農義務が発生します。

放置が最もリスクが高い

固定資産税の負担、遊休農地としての指導リスク、将来の売却・転用への影響——これらを総合すると、何もせず放置し続けることが最もリスクの高い選択です。

「どうしたらいいかわからない」という状態のまま時間だけが過ぎていくケースを、筆者は実務でよく目にします。まずは現状を整理するところから始めることが大切です。

鎌ケ谷市内の農地についてのご相談は、鎌ケ谷不動産相談窓口へお気軽にどうぞ。

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